暑い季節になると外出する機会が増える一方で、紫外線の影響が気になってきます。紫外線を浴びるとシミやしわなどの肌トラブルだけでなく皮膚がんの危険もあり、最近は1年中紫外線対策は欠かせません。
夏は暑さで汗をかきやすいうえ、プールや海では当然ながら水に濡れることも避けられません。そこで水に溶けにくくして流れ落ちにくくした「ウォータープルーフ」と呼ばれる日焼け止めを選ぶ人も多いです。
日焼け止め(ウォータープルーフタイプ)の注意点
しかし汗や皮脂に混じると溶け落ちてしまったり、逆に水に溶けにくくなっていることで皮膚表面に必要以上にとどまってしまい、肌荒れなどの皮膚トラブルを引き起こすリスクがあります。
ウォータープルーフを重視した商品は、皮膚を刺激するクレンジング剤を使う必要があります。通常の日焼け止め商品以上に注意が必要です。その際に心がけたいのが保湿などのスキンケアです。湿度が高くべたつくように感じる季節でも、皮膚の表面は乾燥して外部からの刺激に反応しやすくなっています。
できれば日焼け止めを塗った部分には、毎日の入浴後に保湿ローションやクリームを塗ることは欠かさないで下さい。このようなケアを怠ると肌を乾燥させ、強い日焼けも加わり皮膚炎などを起こすケースも少なくありません。
紫外線を浴びすぎると良くないイメージは誰ににもあるはずです。そもそも紫外線の何が悪いのでしょうか?
そもそも紫外線は悪いもの?
紫外線は目で見ることはできませんが、太陽から放出されている光のひとつです。太陽の光は波長によって見える可視光線と、赤外線や紫外線のように目には見えない不可視光線に分けられます。
紫外線はさらにUVA、UVB、UVCの3種類に分けられます。UVCはオゾンなどに吸収されるため、地表に届くのはUVAとUVBの2種類です。健康のために程よい日光浴は必要といわれるように、紫外線は体内でビタミンDを作り骨を丈夫にするなど、体にとって必要な物でもあります。
しかし長時間紫外線を浴び続けると皮膚や目などに悪影響を及ぼします。紫外線の約9割を占めるUVAの危険度は高くないですが、皮膚の表皮を超えて真皮まで届いてしまいます。ダメージが蓄積することで肌のハリや弾力が低下する「光老化」を招いてしまいます。
紫外線の約1割を占めるUVBは、UVAよりも浅いところまでしか届かないですが、短時間でも肌に強い影響を与えます。日焼けにより肌が赤くなって炎症やシミを引き起こしやすいです。
肌トラブル【光老化】
紫外線を長時間浴び続けると、顔や首、手の甲などの皮膚にシミができたり黄ばんだり乾燥するといった「光老化」が起こります。年齢を重ねるごとにシミやしわなど肌の悩みが増えてくるのは紫外線が大きな原因の一つです。太陽光を直接捉える目は紫外線の影響を受けやすいです。
紫外線の多くは目の表面にある角膜で吸収されるため、強い紫外線を浴びると紫外線角膜炎という異常が起こることがあります。
長年のダメージが蓄積すると水晶体の繊維が壊されて濁る白内障など、進行すると視力障害や失明に繋がる病気を招く恐れもあります。このように様々な紫外線の悪影響から身を守るためには紫外線をなるべく避けることが第一です。
1日の中でも注意すべきなのは、紫外線が強まる午前11時から午後1時ごろまでの時間帯です。また砂浜や雪など紫外線を反射しやすい環境も注意が必要です。
レジャーなどの際は気を付けていても、意外と侮れないのは日常生活で浴びる紫外線です。紫外線は365日朝夕に降り注いでいます。曇りの日や室内にいても私たちに届いています。
ですから用途にあった日焼け止めを適切に使い皮膚を守ることはもちろんですが、1年を通して帽子や日傘、サングラスなどを活用したいものです。
紫外線吸収剤は肌に悪いの?
紫外線吸収剤は肌に影響があるのでしょうか? 紫外線吸収剤には旧表示指定成分に含まれるものがあります。
旧表示指定成分とは、ごくまれにアレルギーなどの皮膚障害を起こす恐れのある成分として厚生大臣が指定し表示が義務づけられた成分です。102種類で香料を含むと103種類ありましたが、2001年の薬事改正で表示義務がなくなりました。
紫外線吸収剤の中にはフェノール系化合物、フェノールに類似するベンゼン系化合物があります。これらはタール色素や酸化防止剤など同様に発がん性などの毒性があります。
そのため紫外線吸収剤は毒性の強さに応じて1品目への添加量が制限されています。それなら安心と思いがちですが、紫外線吸収剤を含む乳液や化粧下地、ファンデーションなどUVケア商品を3つも4つも使用すれば制限量を超えてしまうことがあります。
すると皮膚細胞を傷つけてしまい、シミやしわになる可能性は高くなります。肌が敏感な人やかぶれやすい人は紫外線散乱剤が含まれるものがおすすめです。
以前は紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が一緒に配合され、紫外線防止効果を高めているものが多かったですが、最近は紫外線吸収剤の肌への影響を考えて「紫外線吸収剤不使用」と表示されているものが多くなっています。
「吸収剤無配合」「ノンケミカル」という表示のものを選ぶのが良いです。肌に悪い成分を付けなければ肌の方からよくなっていくことが実感できるはずです。
ただ紫外線散乱剤が入った日焼け止めは使用感があまり良くありません。かぶれは起こりにくいものの、皮膚の表面が乾燥したりツッパリ感が生じてしまうなど、デメリットがあります。皮膚への刺激の低さや価格を考えると、おしろいも日焼け止めとして十分役にたちます。
まとめ:
最近は過度にシミを恐れる風潮が強く、日焼け止めを過信して肌荒れなどのトラブルを逆に招いているようなケースも多いです。健康な肌を保つには、まずは肌に負担となるような化粧品を避けるのが一番大切です。